ふくしま集団疎開裁判の検討

2012年7月25日


 ここは、福島地裁郡山支部と仙台高等裁判所で行なわれているふくしま集団疎開裁判(仮処分手続)を吟味するものです。
そのために、債権者(郡山市の小中学生)と債務者(郡山市)の双方から裁判所に提出された書面を検討することが不可欠です。
そこで、まず、この極めて公共性の高い本裁判で裁判所に提出された重要書面を、個人情報部分を削除した上で、公開します。

1、検討資料

月 日

債権者(郡山市の小中学生)

月 日

債務者(郡山市)

2011.
6.24
仮処分申立書 第1、 当事者
第2、経緯
第3、被保全権利
 1、総説
 2 放射線が人体に与える影響
 3 「年間1ミリシーベルト」の根拠
 4 放射線量の積算値
 5 小括
 7 福島県内の児童生徒の有する権利
 8 債務者の負う義務
第4、 保全の必要性
 1 唯一の方法
 2 緊急性
 
 
 
記者発表要旨



報告書(甲1) ・本裁判は緊急に救済を求めるため、危険性は大きいが測定は困難な内部被ばくを除外し、外部被ばくに限定したこと。
・本裁判は外部被ばくだけで既に十分危険かつ違法な状態にあることを問うものであること。
・債権者らが通学する小中学校は放射線量の積算値が本申立時点で既に1mSvをはるかに超えていること。
・福島県内の小中学校のうち1年間の積算値が1mSvを超えると推計される学校が甲5の調査数266のうち261にのぼること。



7.1 証拠説明書1 甲1〜20の提出その詳細は=>こちら


7.5 準備書面(1)



証拠説明書2 甲21〜39の提出その詳細は=>こちら


1回目(面接) 債権者のみ。



7.14 答弁書
7.19 2回目(審尋) 債権者・債務者双方。
8.5 申立の趣旨訂正申立書 本裁判が郡山市の約3万人の全小中学生の避難を求めるものではなく、あくまでも14名の避難を求めるものであることを再確認したもの。





8.22 準備書面(1)



証拠説明書
8.26 3回目(審尋) 債権者・債務者双方。



9.8 準備書面(2) 乙9の放射線量の計算方法、乙9〜11の測定方法についての説明
9.9 最終準備書面 第1、はじめに
第2、債務者準備書面(1)に対する反論
1、「第2 申立の趣旨について(求釈明)」について
2、「第3 保全の必要性」について
3、「第4 被保全権利が認められないこと」について
第3、債権者の主張
1、問題の所在
2、チェルノブイリ事故との比較
3、アルファ線、ベータ線を発射する核種(放射性物質)の放出と汚染
4、外部被ばく(3月11日以来現在まで)
5、終わりに――債務者の答弁書について―― 



証拠説明書4 甲45〜63の提出その詳細は=>こちら



矢ヶ崎意見書
(甲49)
琉球大学名誉教授 矢ヶ崎克馬氏作成の意見書。
第1 郡山市と汚染度が同程度の地域で、チェルノブイリ後に多量の健康被害が生じている
第2 放射線による分子切断が被曝の起源
第3 放射線の作用―内部被曝の危険
第4 放射線被害の隠ぺいとICRP
第5 現に進行している被曝の回避に全力をー日本を被曝地獄にしてはならないー




報告書(2)本文
別紙1〜4
(甲54)
1、郡山合同庁舎の空中線量の測定値に基づいて、本年3月12日から5月25日までの積算値を計算→4.3〜9.46mSv
2、郡山合同庁舎の空中線量の測定値に基づいて、本年3月12日から8月末までの積算値を計算→7.8〜17.16mSv



報告書(3)
汚染マップ
(甲55)
甲53のデータから、債権者らが通う学校の汚染程度をチェルノブイリ避難基準に照らしたマップで示したもの→汚染マップが示すことは、
(1)、複数の学校が住民に移住義務がある移住義務地域に該当
(2)、殆どの学校が住民に移住権がある移住権利地域に該当



4回目(審尋) 債権者・債務者双方。
9.12 最終準備書面の補充書 第1、 主張の補充
 1、 セシウム134と137の濃度を合算した理由(甲55の汚染マップ
 2、債権者らが通う学校の校庭を自主測定した報告書(甲63)について
第2、 立証の補充
 1、ウクライナのルギヌイ地区の健康被害を明らかにした文献の提出(甲64)
 2、外部被ばくの実際の積算値を算定し直した報告書(甲54)
 3、モニタリング結果(乙9〜11)のモニタリング方法の不備を証明する証拠(甲65)
 4、放射性希ガスによる発ガンに関する証拠(甲66〜69)
第3、最終準備書面の誤記訂正



証拠説明書5 甲64〜69


論文「ウクライナ・ルギヌイ地区住民の健康状態
(甲64)
矢ヶ崎意見書3〜4頁(甲49)で引用した文献。
郡山市と汚染度が同程度の地域(ウクライナのルギヌイ地区)で、チェルノブイリ事故以後に子供の甲状腺疾病と甲状腺腫」以外にも多量の健康被害が生じていること。






10.7
債務者反論の締め切り


以後、右の債務者反論に対する再反論(10月末までに) 10.9
準備書面3
(最終準備書面)

第1、債権者最終準備書面に対する認否
第2、被保全権利が認められないこと
第3、保全の必要性



証拠説明書4 乙19〜25



10.11 補正書 準備書面3の誤字訂正(1箇所)
10.31 最終準備書面の補充書(2) 第1、 債務者最終準備書面に対する反論
第2、債権者の主張の補充
 1、予測される今後の健康被害について
 2、ストロンチウム、プルトニウムの危険性について
 3、国の被ばく対策の誤りの起源(根本的な原因)について
 4、債権者らの疎開について



証拠説明書6 甲70〜91の提出 その詳細は=>こちら


松井意見書(甲72) はじめに
第1章 東電原子力発電所事故と健康障害
第2章 郡山市における放射線による晩発障害の予測―チェルノブイリ原発事故から学ぶ
第3章 内部被曝とはどのようなものか
第4章 日本政府と東電はなぜ内部被曝を隠蔽するのか
第5章 子どもの内部被曝を防ぐ社会的対策



バズビー論文(甲73) →訳文 チェルノブイリ事故のセシウム137被ばくにより子供達に心臓病が多発している事実に基づき、福島の子供達にもセシウム137の内部被曝による心臓病の発症の危険が迫っていることを警鐘。


矢ヶ崎意見書(2)(甲81) 郡山市やその隣接近接地域で検出されたストロンチウム、プルトニウムの桁違いの危険性について


沢田意見書(甲82) 1.はじめに
2.放射性降下物による被曝影響研究の端緒
3.原爆被害の隠蔽
4.放射性降下物の物理学的測定の限界
5.LSS集団の脱毛発症率に基づく広島原爆の放射性降下物被曝の推定
6.LSS集団以外の広島の脱毛発症率からの放射性降下物の評価
7.3種の急性症状発症率に基づく広島原爆の放射性降下物被曝の推定
8.3種急性症状発症率に基づく長崎原爆の放射性降下物被曝の推定
9.放影研が遠距離被爆者を実質上コントロール集団としている問題
10.広島遠距離被爆者の悪性新生物死亡率
11.原爆の放射性降下物による被爆と福島原発事故の放射線被曝



大庭陳述書(甲86) 今からでも疎開することにより、体内残留の放射性物質が劇的に減少すること。


郡山市への申入書(甲91) 郡山市に子供たち全員を疎開させるように項目にわたって申入れをおこなった事実


11.7 証拠説明書7 甲92 ビデオメッセージ(山本太郎、神田香織ほか9名の各界の著名人)


12.2 最終準備書面の補充書 (3) 1、 汚染マップ(甲55の2)の見直し                 
2、「移住権利地域」の具体的内容                   
3、内部被ばくを認めた一連の原爆症認定訴訟の判決について



証拠説明書8 甲55の4・甲93〜101


郡山市市街地の汚染マップ(甲55の4)

文科省が8月30日に公表した「土壌の核種分析結果(セシウム134、137)について」(甲53)の空間線量のデータに基づいて、債権者らが通う7つの学校の汚染状況をチュルノブイリの避難基準に当てはめた汚染マップ。
これによれば、上記7つの学校の周辺はすべてチュルノブイリの避難基準で、住民を強制的に避難させる「移住義務地域」に該当する。




矢ヶ崎意見書()(甲93)

1、セシウムの汚染濃度ではなく、空間線量の値に基づいてチェルノブイリ周辺国の避難基準を適用することについて
2、郡山市の汚染状況を上記避難基準に当てはめた場合、債権者らが通う7つの学校はすべてチュルノブイリの避難基準で、住民を強制的に避難させる「移住義務地域」に該当すること及びこの意味について




JCASTテレビウォッチ・オンラインニュース文科省「放射線量低く見せろ」要求応じず解約になったオンライン線量計(甲100) 福島の学校等に線量計を設置する工事を落札した業者が、文科省から国際標準の計数管を使用しないように要求され、これを受け入れなかったため文科省から契約解除されたというニュース。


12.16 裁判所の決定 申立の却下。
12.27 即時抗告申立書 仙台高裁に異議申立。


2012.
2.29
抗告理由書 第1 申立ての趣旨の変更
 1 変更後の申立ての趣旨
 2 申立ての趣旨変更の理由
第2 抗告の理由
 1 原審の判断について
 2 被保全権利の要件について
 3 生命身体に対する危険性について
 4 適切な代替手段について
 5 児童の権利に関する条約について
 6 重大な手続違反
 7 新たな事実と証拠の提出
 8 まとめ



証拠説明書(9) 甲102〜119


山内意見書(甲103) 1 概要
2 略歴
3 抗告人らが通う2つの小学校における空間線量率の測定結果
4 抗告人らが通う小学校校庭の空間線量率は、0.193 μSv/hを超過している
5 原審決定中の「今後,除染作業の進捗により,さらに放射線量が減少することも見込まれる」(19頁2行目)という認識は間違っている



矢ヶ崎意見書(4)(甲104)   はじめに
1.事故後の甲状腺の検診結果
(1).南相馬市、川俣町、浪江町、飯舘村の4市町村の子どもの30%に見られるしこりと嚢胞
 (2).札幌の避難者の子どもに見られるしこりと嚢胞
 (3).データは何を意味するものだろうか
2.ベラルーシの市民の臓器への放射性物質(セシウム137)の蓄積
 (1).市民の臓器蓄積量
 (2).放射性物質の健康被害の予測につながる事柄
3.発がんに至る期間
 (1).内部被曝の特徴
 (2).ベラルーシにおける発がん
 (3).5年経たないと発がんしないか
4.東電事故後現れた甲状腺のしこりと嚢胞をどう見るべきか
5.万全の体制で子どもの健康保護を
6.結論
7、その他
 (1).意見書(甲49)で引用したウクライナルギヌイ地区の健康被害のデータの信用性について
 (2).弁護団の計算による積算値(甲1・同54)の検証
 (3).決定中の「内部被ばくの危険性」に関する部分に対する反論



3.28 申入書 本文
別紙(菅谷昭松本市長インタビュー〔本年3月12日〕)
今ふくしまの子どもたちが危機の中にあることを「ふくしまのデータ」から明らかにした矢ヶ崎意見書(4)の作成者矢ヶ崎克馬氏を参考人として仙台高裁で証言する機会を設けて欲しい旨の申入れ





4.17 答弁書 1 総論
2 処分権主義違反はないこと
3 被保全権利の要件(危険性の判断基準)を厳格に解すべきこと
4 被保全権利の要件の適用について事実誤認がないこと
5 生命身体に対する切迫した危険性がないこと
6 適切な代替手段があること
(以下、略)



証拠説明書  乙26〜33



乙27の2 福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について(通知)(別添資料)(平成23年8月26日)



乙31 郡山市ふるさと再生除染計画. ( 初 版 ). 郡 山 市. 平成 23 年 12 月



4.24 同上(追加) 乙28の抜粋部分を特定
5.20 抗告人準備書面
(1)
第1 はじめに
 @.安全基準値の変更はいかなる場合に許されるか
 A.本件の被ばくと健康障害の発生との因果関係は疫学的証明しか許されないか
 B.食品・水の安全基準の基本は絶対的な安全であって、「がまん量」ではない
第2、答弁書に対する反論
1、事実論1(100mSv問題)
2、事実論2(20mSv問題)
3、法律論1(処分権主義違反)
4、法律論2(判断違脱および弁論主義違反)
5、当事者について
第3、抗告人の主張の補充
1、予測される今後の健康被害について
 (1)、福島の子どもの甲状腺「しこりと嚢胞」について
 (2)、福島の子どもの遺伝的影響の問題
 (3)、被ばく回避の中で発生した新たな健康被害の問題について
2、外部被ばく問題
 (1)、ホットスポットと除染問題
(2)、学校外の遊び場と除染に伴う仮置き場問題
3、内部被ばく問題(学校給食)
4、最後に――真にチェルノブイリ事故から学ぶ――



同上 証拠説明書(10) 甲12の4・同120〜146



松崎意見書本文
別紙1(福島の子どもの甲状腺検診調査結果(本年4月26日発表分))
別紙2(山下俊一氏らによる長崎県のこども(7〜14才)250人の甲状腺調査結果(2000年・英語))
別紙3(主に米国人を対象にした甲状腺検査結果(1993年・英語))
(甲131)
2.甲状腺障害
 (1) 福島調査
 (2) 長崎調査
 (3) 米国等調査
 (4) チェルノブイリ地域調査
3.呼吸機能
4.骨髄機能




武本報告書(甲137) ――情報公開制度を通してみえてくる郡山の現状について――
第二  学校給食と地元産新米
第三  学校敷地内のホットスポットと屋外活動制限の解除
第四  除染に伴う仮置き場






7.31

抗告人に対する反論の締切り