7.15/99
原告の第6回目の準備書面であり、この日をもって弁論が終結(結審)。
当方の「速やかな判決を」という要望が裁判所に受け入れられ、前回の弁論から1週間足らずで、最終弁論となる。
本書面は、依拠性の立証方法について、原告の見解(それが既に十分尽くされていること)を述べたもの。
事件番号 東京地裁民事第29部 平成10年(ワ)第14180号 著作権侵害差止等請求訴訟事件
当事者 原 告 三谷一馬
被 告 株式会社 新橋玉木屋
訴えの提起 98年6月25日
判決 99年9月28日
原 告 三 谷 一 馬
被 告 株式会社 新橋玉木屋
平成11年7月15日
原告訴訟代理人
弁護士
柳 原 敏 夫
東京地方裁判所
民事第四七部 御中
原告準備書面(五)
著作権侵害の要件事実である依拠性の立証方法につき、一言原告の見解を述べておきたい。
依拠性の立証責任が原告にあることについて、(厳密には問題があるのだが)ここでは異議を唱えない。しかし、これを前提にしたとしても、いうまでもなく要件事実の立証は何も直接事実をもってするのみならず、間接事実によってすることも認められており、
《細部にわたるまでの強度の類似点の存在、原告書籍に意図的に残された誤字等が被告書籍にそのまま存在する事実、‥‥等も依拠を推認せしめる間接事実である》(青柳玲子「著作権訴訟の要件事実」三九頁裁判実務大系27『知的財産関係訴訟法』。田村善之「著作権法概説」四九頁も同趣旨)
というのが実務上の扱いである。
従って、本件においては、両作品における《細部にわたるまでの強度の類似点の存在》(甲四と甲二一の対比)、被告の「独自著作」の不可能なこと(本年五月一七日付原告最終準備書面三〜一二頁)、とりわけ原告が意識的に省略した髪の毛すじや荷箱の金輪が被告の乙四号証の絵でもそのまま省略してあること(右最終準備書面一二頁)が被告の依拠性を推認するに十分足る間接事実である。
それゆえ、依拠性に関する原告の立証も既に終了しているというべきである。
以 上
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