自作の著作権ソフトの解説と弁解

----プログラム製作の弁解と助言のお願い----

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1、はじめに
 私は、自分が、万物のうち、亀・蛙・蛇たちに一番似ているような気がして なりません。その証拠に、私は、冬眠人間です。冬になると、精神状態が、一 変してしまい、それまでと全く違うことを、例えば、自然科学とくに数学を、 やりたくなるのです。
 これまで、湯川秀樹の「妄想」論・遠山啓の「カントールの無限集合」・森 敦や柄谷行人の「ゲーデルの不完全性定理」などに接したのも、いずれも冬で した。

 昨年、冬が訪れたとき、11月30日の夜、私はたまたま手にしたスティーブン・レビー著「ハッカーズ」という本を読み、それまで骨の髄まで忌み 嫌っていたコンピュータに対して、回心をしました。それまで私は、コンピ ュータを、ただ単に莫大な富の象徴か、人間疎外の象徴かのような愚劣なものにしか思 っていなかったのです。しかし、この夜、私は、自分の考えが、いかに一面的 であり、自分がこれまで、「コンピュータ出現の、人類の精神史における意義」 について殆ど無知であったことを、改めて思い知らされました。
 そして、今年の1月26日、私は、初めて、中古のパソコン(NECの88)を使ってプログ ラムをディスクに保存することに成功したのです。感激の一瞬でした。この時 から、私の冬眠状態は、一気に過熱し、パソコンの虜となって、文字通り、寝 食を忘れてプログラミングに明け暮れたのでした。コンピュータは、私にとっ て、最も刺激的な「謎」そのものであり、この謎解きのために、この時、私 は、全身全霊をかけて取り組みたい、そのために、自分の仕事を失うことにな っても構わない、極論するなら、家族を失うことになっても止むを得ないとま で思い、近年にない激しい渇望に心が捕えられました。その渇望の激しさの あまり、私は一時、蒸発することを本気で考えました。周りの人とちゃん とやっていく自信が全然なかったのです。しかし、なにはともあれ、パソコ ンはちょうどスタンダールにおける「恋愛」のごとく、私にとって、久々 の情熱の存在様式だったのです。

 こうした数か月に渡るプログラミングの末、家庭環境が険悪の極に達し、疲 労も限界に達したので、そして、なによりも、肝心の冬眠があける時期に達し たので、私は、この作業に一つの区切りをつけなければ、と思いました。そこ で、思いついたのが、これから解説するプログラムの制作でした。
つまり、「世 界の著作物の国際的保護に関するプログラム」を置土産にして、冬眠からおさら ばしよう、という腹だったのです。というのは、以前、著作権の勉強会の時、 世界の著作物の国際的保護を検討したのですが、著作権に関する条約の具体的 な適用に関して、その余りの煩雑さに辟易したことがありました。この時の経 験から、こういう煩雑な処理こそコンピュータにやってもらうに限る、と思 ったからです。
 しかし、この考えは甘かったようです。現実には、煩雑な処理を回避すると いう制作目的のために、その何層倍もの煩雑なプログラミングを組まなければ ならない羽目になったし、その上、パソコンの記憶容量の関係で、プログラム が大きすぎて使えなくなるという悲惨な経験を何度も味わいました。

 おかげで、せっかくの花見も、連休も、私は引き続き、冬眠を余儀なくされ ました。
 結論から言いますと、このプログラムは、或る暗礁に乗り上げて、完成寸前 のところでついに完成させることが出来ませんでした。だが、私自身は、ここ で、冬眠ときちんと訣別しておかないと、緑なす生が燃え盛る、これからの半 年間をまともに送ることができそうもありません。そこで、このプログラミン グを完成させて、これと一刻も早く手を切るために、皆さんにプログラムの紹 介をし、なんとか、皆さんから、プログラミング完成のための助言をいただき たい、と念願している次第なのです。


2、プログラムの構成について
 今回、制作しようと思い立ったプログラムというのは、
「世界の国々で、制作された著作物が、国際的にどのように保護されるか?」 について、データを入力すれば自動的に判断できるようにしたものです。
 これは、大別して、次の二つの体系からなり、

  1. 著作物の国際的保護を判断するプログラム(判断プログラムと略称)
  2. 世界各国の

 さらに、2つのプログラムは、次の個別プログラムからできています。

  1. 判断プログラム
  2. 検索プログラム

入力しようとしたデータは、次の通りです。


3、プログラムの制作経過とお願い
 なにせ、まだ一度も、まともなプログラムの制作経験もないまま、独学で取 りかかったものですから、この間、ランダムファイルの扱いを間違えて、一晩 中かかって入力したデータが、一瞬のうちに消えてしまったり、プログラムの 合体の作業中、操作を間違えて、合体が終了する間際に、本体のプログラムが 消えてしまったり、さらには、プログラムがどんどん大きくなったため、記憶 容量をオーバーしてしまい、プログラムがフロッピーディスクにセーブされた まま、パソコンにはロードされないという、思いも寄らない事態にも、遭遇し ました。
 しかし、奮闘努力の甲斐もあってか、ようやく、この連休の間に、最後の仕 上げに至ることができ、途中、またまた、記憶容量がオーバーして、プログラ ムがフロッピーに閉じ込められるという憎っき事態になったものの、すぐ気を 取り直して、プログラムを可能な限りスリムにして、再び仕上げに取りかか り、今度こそは「OUT OF MEMORY 」というエラーメッセージが出ないように、 出ないようにと念じつつ一行一行点検していって、問題がないことを確認した 上、やっとのこと念願のプログラムを完成させました。そして、歓喜の極みの 中で、プログラムをフロッピーに保存させ、念のため、もう一度、プログラム をロードさせた時のことです。そのときになって初めて、画面上に、あの悪魔 のメッセージ「OUT OF MEMORY 」が出たのです。そのときの私の落胆ぶりと憤り は御察し頂けるかと思います。
 私は、もう、忘れないうちに再び仕上げに取りかかることはやめました。
この間の、記憶容量との戦いのなかで、私の主な関心は、肝心のプログラムよ りも、記憶容量そのものの構造のほうに移ってしまったからです。
 しかし、せっかくここまで完成したプログラムを、このまま埋もれさせてし まうのも、プログラムに申し訳ない気がするものですから、どなたか、フロッ ピーに閉じ込められている、この可哀想なプログラムを救い出す魔法の呪文を 知っている方がおりましたら、その魔法の呪文を教えて頂けないでしょうか。 魔女の宅急便でも何でも結構です。お願いします。

コメント
 7年前、私を回心させ、パソコンにはまるきっかけを与えてくれた書物が偶然手にした「ハッカーズ」(スティーブン・レビー作)という本でした。
 しかし、回心したものの、私の周りには「ハッカーズ」に登場するような連中はおらず、また「ハッカーズ」を語り合えるような相手もいないままに、ひとりでパソコンにのめり込むしかなかった。しかも、当時のマニュアルの超不親切ぶり、徹底した非啓蒙ぶりには歯ぎしりする思いだった。孤立したまま、半年後、私のパソコンの旅は不本意のまま挫折してしまった。
 しかし、それが反復されたのは、これまた偶然のことで、私がニッポンから逃げ出してアメリカをうろついていた頃、たまたまMITの生協で、山と積まれた「HACKERS」の書物を目撃したからだった。それはむろんこの本の中身がMITを舞台にしたものだったからに違いないが、しかし、10年前に刊行され、ニッポンではもうとっくにどこの書店でも手に入らないようなこの古めかしい本(しかし、私にとって極めて大切な本!)が、依然、山のように積まれているのを見て、私はこの山と向かい合いながら、アメリカにおける時間というものを見直し、パソコンを見直したのです。
 幸い、今度は、私には加藤直之さんという貴重な知り合いができて、彼がパソコンやパソコン通信に関する 私の相談相手や相談の場(ニフティのフォーラムですが)を紹介してくれたので、2年前から落ちこぼれずに今日まで至っています。
 そして私のささやかなひとつの願いとは、今後、このインターネットを通じ「ハッカーズ」に登場してきたようなハッカー的精神の持ち主たちと交流したいということです。英語を学ぶ意義もそこにあることを今は痛感しています。

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