断 想

----時代のめぐり合わせ----

1996.10.08

(・・・断想の森に保存)


 確かに、人それぞれに時代のめぐり合わせというものがある(たとえ、それが直ちにその人の運不運とは言えないとしても)。
 たとえば、著作権ひとつとっても、今にして思えば私は法律家としてものすごく恵まれていたと言える。なぜなら、今なら猫も杓子も著作権といってこれに飛びつくような著作権流行の時代だからだ。これに対し、私が著作権を始めた頃には誰もそんなことをやらなかったからだ。精々「随分変わった方ですなあ」と思われるのが関の山だった。当時、著作権で食える人なんてノラぐらいしかいなかったから。
 だから、私は誰はばかることなく、自分が好きなことを好きなだけやるという「内発的な自発性」の原則に従って著作権をやれた。これは僥倖というほかない。これは今なお(というより今いっそう)肝に銘ずるに値する事実だ。

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