あいさつ

2003年6月4日

このホームページは、その表題からも明らかなように、前世紀から今世紀にかけてその思想的輝きを失わなかった日本で唯一の「知識人」ともいえる批評家柄谷行人の原理を、著作権に応用しようとするものです(現在進行形)。

と同時に、このホームページは、この数ヶ月間の世界史的事件の中で私が出会った人物、ノーム・チョムスキーの圧倒的な影響の下に編集し直すものです(同じく現在進行形)。

このふたりは、
人間にとって理念(理想)がなくてはならない大切なものであることを重々承知の上で、この理念の軽々しい使用が人間を一層悲惨な場所に追い込むという現実を踏まえて、決して容易には未来を、そして理念を語ろうとしない点において、
その上で、積極的な何かを語ろうとするために、何よりもまず、現実に対する情け容赦ない批判を貫こうとする点において、
さらには、世界の本質に迫る内容を、決して特殊な人間に向けて語るのではなく、首尾一貫して「専門的な知識などもたない一般市民」向けに語ろうとする姿勢において、共通しています。

何よりもまず、私がふたりから学びたいと思ったことは、こうした姿勢です。

それはまた、今から約100年前、19世紀から20世紀にかけてその思想的輝きを失わなかった日本で稀な「知識人」である作家の夏目漱石が述べた次の言葉とも共通します。

東京大阪を通じて計算すると、わが『朝日新聞』の購読者は実に何十万という多数に上っている。その内で自分の作物を読んでくれる人は何人あるか知らないが、その何人かの大部分は恐らく文壇の裏通りも露路も覗いた経験はあるまい。全くただの人間として大自然の空気を真率に呼吸しつつ穏当に生息しているだけだろうと思う。自分はこれらの教育あるかつ尋常なる士人の前にわが作物を公にし得る自分を幸福と信じている。(「彼岸過迄」の前書き)

私もまた、法曹界の(どうでもいいような)裏通りも露地も覗いた経験もない、全くただの人間として大自然の空気を真率に呼吸しつつ穏当に生息しているだけの、教育あるかつ尋常なる市民の前にわがホームページを公にし得る自分を幸福と感じています。

このホームページは、これから、私がこうした非知識人的知識人の人たちのまなざしと激励を受けながら取り組む、探究の記録です。

追伸

相棒は、カミさんとワンコウのゲンです。→ ゲンから挨拶