1997.05.25
(・・・自由の森に保存)
コメント
これは、先日の入学式の際に、この自森NGOホームページの紹介をしたビラを新入生の親たちに配っていたところ、それを禁止させられた事件について、その人権侵害の回復を求めて、学校に話し合いを申入れしたものです。
実は、このような侵害事件がその後頻発したにもかかわらず、いずれの場合にも被害者の立場は学校からも教師からも頭から無視されてきた。ところが、今回5月13日、生徒による暴行事件が勃発して刑事事件がらみの様相を帯びたとき、学校は一転して「被害者の被害の重大性」を声を大にして人権侵害を行った生徒側に対して厳罰の方針を取り、多くの教師がいとも簡単にこれに同調し、生徒の前で「被害者の被害を考えたい」と表明した。
しかし、その光景は私には信じ難かった。なぜなら、私たちがビラ配りという表現の自由を露骨に侵害されたときには、その場に居合わせた多くの教師はみなこぞって私たち被害者を見て見ぬふりをしたのであるし、その後も同種の人権侵害に信じがたいような被害者無視の態度をとり続けてきたのである。それが1ヶ月もしないうちに、今度は一転して被害者尊重を振りかざすことがはたして本当にできるのだろうか。
思うに、むしろ、教師のこういう偽善者的な態度が実は今の自森をうんざりするくらい腐らせ、その腐った環境の中でフラストレーションがたまった生徒たちが暴発する危険にさらされていること、今回の暴力事件の背景にも同様な問題が横たわっていることにもうそろそろ気がつくべきだと思う。しかし、教師たちが開いた生徒たちとの集会の席上、そのような発言をした教師たちはいなかったという。被害者加害者両方の生徒たちを復帰させるのは無理だと、まるで他人事のように、事件のことを語る教師を見て、息子は益々不信感だけが募ったという。この事件を契機に、本当に批判を受けるのは誰なのか、ウミを出し切るべきなのは何なのか、その真の問いかけはこれから始まるだろう。
木幡 寛 殿
名雪 順一 殿
1997年5月25日
自森高3ー6義務者 柳 原 敏 夫
去る4月12日の入学式の際に、生徒・父母が自主的な活動のお知らせのビラを新入生の父母たちに配って交流していたことに対し、木幡さん・名雪さんが私たちに「事前に連絡を受け、教職員会議にはかって決めていないから、配ってはならない」という指示を出されたことは、表現の自由に対する明々白々な人権侵害でした。そして、その後、この学校で起きた様々な人権侵害事件の続発のことを考えるとき、今回の事件の重大性を改めて痛感せざるを得ません。
ついては、この問題について「事態の抜本的な解決をはかるため」、当日、名雪さんとの間で「この問題を改めて後日話し合う」と約束しましたとおり、この問題を協議する場を設定したいと思いますので、その旨を申入れします。
いうまでもなく私たちはこの侵害事件の被害者ですから、学校側が被害者の立場というものを十分尊重して誠実に対応されるであろうことを見守る積りですが、しかし、私たちは単に自分たちが被害者であるという立場だけを振りかざして、今回の侵害を行った加害者の学校を糾弾し、関係者を排斥するようなことはしたくありません。まずは、加害者の学校側にきちんと自分たちの誤りを認識して欲しいのです。そして、被害者である私たちとの間で信頼関係を回復してほしいてのです。
そのためには、私たちは、10日や2週間なんていう短期間で結論を出さず、納得がいくまで1年でも2年でも粘り強く時間をかけて話し合い、今回の誤りの本質が何であったかを加害者の学校自らが認識するまで、あきらめないで努力するつもりです。ここは単に秩序を守る刑務所なんかではなく、様々な試行錯誤の中で人々が育ちあう教育現場なのですから。
以上、申入れでした。
なお、今後話し合わなければならない事項は山のようにありますので、詳細は、追って名雪さん宛にお知らせします。
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