株式会社批評空間の設立の手順
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必要な書類 |
株式会社の設立について、既に多くの参考情報があると思うので、ここでは、ざっと紹介するにとどめます。
もっとも、ここには市販の参考書にはない独自の情報があります。それは批評空間社が通常の株式会社ではなく、あくまでも株式会社の形態をまとった協同組合的な組織として設立しようとした点です。この点に注意すると有益な情報が得られると思います。
全体の流れは、以下の通りで、以下に順番に解説します。
1 | 設立手続の準備:類似商号の調査、設立形態の決定など |
2 | 定款の内容の検討・決定 |
3 | 定款の作成・認証手続 |
4 | 株式払込の手続 |
5 | 会社組織(取締役等の選任)の決定 |
6 | 登記申請の手続 |
7 | 官公署への届出 |
参考文献「ひとりでできる株式会社の作り方」(長門昇。発行 オ−エス出版社)
1、設立手続の準備:類似商号の調査、設立形態の決定など |
設立手続の準備の全般について
「ひとりでできる株式会社の作り方」chapter2〜4(30〜91頁)を参照
発起人の選出(同書44頁〜)
発起人というのは、定義としては一応「定款に、発起人として署名した人のこと」を言いますが、中身は、会社設立の中心人物となる人たちのこと、つまり、事業運営の中心となる人たちのことです。
生産協同組合で言えば、協同経営者ということになると思います。
但し、商法では、発起人となった者は、必ず1株以上の株式を引き受けなければならない、という条件が課せられています。つまり、最低1株分の出資をしなければなりません。
発起人組合(発起人会)の開催
発起人のメンバーが決まったら、次に、彼らの間で、どのような会社にするか、協議し決定する必要があります。
そこで、決定された内容を、発起人組合規約とか設立契約書とかいう名称の文書として作成しておきます。
今回は、投資事業有限責任組合の設立と同時進行だったので、両方の内容を盛り込んだ設立契約書を作成しました。
◆書面のアップ
設立契約書 | → |
商号の検討(類似商号の調査など)(同書46頁〜)
会社の名称=ネーミングは非常に重要なことですから、慎重に検討して決める必要があります。
この点、株式会社の名称(商号)について、いろいろ法的な規制がありますので(例えば、英文字やアラビア数字は使えない)、注意して下さい。
そのうち、とくに気をつけたいのが、類似商号の調査です。
本店を置く市区町村内に、同じ業種・業態で、同じもしくは類似の商号が既に登記されている場合には、登記を受け付けてもらえません。
そのため、必ず、登記を予定する登記所に行って、類似商号があるかどうかを調べておく必要があります(その詳細については、同書48頁以下参照)。
そして、類似かどうか、やばそうな登記があった場合には、登記所(相談窓口がありますので、そこで)に、大丈夫かどうか、相談して下さい。
ここで手を抜いて、あとから、類似商号だと言われたら、それまでの手続が水の泡になりますので、くれぐれも手を抜かないことです。
ちなみに、今回、私と内藤さんで、大手町の登記所に行って調査したのですが、1件、
有限会社 批評社
というのがあり、念のため、登記所の相談窓口に行って、尋ねました(担当者は、ちょっと明快な答を避けましたが、「まあ、大丈夫だろう」と言ってくれたので、よしとしました)。
設立形態の決定
株式会社には、発起設立と募集設立と2つの設立形態があります。
発起人の出資だけで設立する発起設立が、手続が簡単で、今回もこれを採用したかったのですが、今回は、「5名の個人と投資事業有限責任組合」を発起人に予定していたので、問題は、投資事業有限責任組合も発起人の一人になれるのか、ということでした。
投資事業有限責任組合がまだ世に登場して間もないこともあって、そんなことを論じた文献がどこにもありません。
仕方ないので、何も分からないときの大原則として、
その道の専門家に尋ねるという作戦で、
法務省(03-3580-4111)の民事局に電話して、商法の担当官に「どうなっているのか教えて欲しい」と尋ねました。
しかし、先方も、とっさに答えられなくて(^_^)、検討してから回答すると、数時間後、法務省からわざわざ私の自宅宛てに電話があり、
「株式会社の発起人になれるのは、自然人か法人に限られます。しかるに、投資事業有限責任組合は登記されるとはいえ、法人ではありませんので、したがって、発起人にはなれません」
ということでした。
もっとも、これとて、ひとつの法解釈にすぎないので、争えば争う余地があるのですが、しかし、そんなことをしている余裕もないので、今回は法務省の見解にしたがって、投資事業有限責任組合を発起人からはずすことにしました。
↓
すると、今回の設立は、出資者として、
発起人である5名の個人
発起人外の投資事業有限責任組合
ということになり、設立形態は、文句なく募集設立ということになります。
もっとも、この時、昔、司法試験受験で商法の勉強をしたときの「募集設立は裁判所の選任する検査役のチェックが入り、手続が煩雑だ」というイメージがあって、そんな面倒くさいことになったらどうしようか、と困惑していたのです
が、それは私の受験勉強の弊害に由来する思い過ごしでして、募集設立において、設立の中で、現物出資(お金ではなく、それ以外の財産【建物とか機器など】をもって出資にあてること)とか、設立費用(発起人が、設立のために支出した費用)など変態(アブノーマル)設立事項と認められる場合に限って、裁判所の選任する検査薬のチェックが必要になるので(注1)、それ以外のノーマルな設立をしている分には、そんな面倒くさい手続は不要だと分かり、ホッとしました。
その意味で、発起設立、募集設立のいずれでも、手続の煩雑さは殆ど変わらないと考えて結構です。
2、定款の内容の検討・決定 |
1、定款の内容を決定する上で、一般に、一番注意すべきなのは、会社の目的に定めるときです。
その詳細は、参考文献の50頁以下に書いてありますので、参照して下さい。
記載事項の範囲
要は、(当面ではなく、将来的に)自分がやろうとしている事業は全て、ここに目的として記載するのが望ましい。
記載事項の表現
問題は、その書き方です。なぜなら、その書き方が登記所の気に入らないと、受け付けてもらえません(^^;)。
では、どういう書き方だと大丈夫かというと、その極意はありません(^^;)。
一般的には、誰が見ても分かるような表現をする、というような基準があるらしいのですが、具体的なことになると、よく分からないのが実情です(←私も、会社設立プロの司法書士さんから、ネットワーク関係の株式会社の目的をどう書いたらいいか、分からなくて相談されたくらいです)。
↓
解決策
従って、皆さんが、この目的を書く場合には、一通り、案文ができた段階で、必ず登記所の相談窓口しかも、必ず自分が登記申請する登記所に行って(でないと、登記所でも、場所によって扱いがちがいます。要は、自分の申請が通ればよいわけで、申請する登記所から、予めお墨付きをもらうことが肝心なのです)、それでいいかどうか、チェックを受けて下さい。
もっとも、今回は、投資組合の設立の方に時間を取られ、時間がなくて、「出版社の例を参考にしたこんな典型なのだから大丈夫」という私の判断で、(えい、ままよ!と)予め相談には行きませんでした。
(しかし、あとから、知り合いの司法書士さんに、「えらい勇気あることしますね」と呆れ返られました)。
↑
一般には、必ず、事前に、会社の目的を登記所に行ってチェックを受けるというのは、もっとちゃんとした訳があります。
それは、会社設立の手順として、
(1)、会社の目的は定款に記載して、定款を公証人に認証してもらい、
(2)、その上で、最後に、登記所に登記申請するわけです。
ところが、最後の2の段階で、もし、登記所から、こんな目的の書き方ではダメだと言われたら、一から定款の作成・認証をやり直さなければならないからです。そもそも、会社設立で一番大変な(=お金と手間がかかる)作業が、この定款の作成・認証なのです。その大変な作業をやり直すなんて、まさにFuck You!です。そういうクダラナイことをしないためにも、必ず、事前に、目的の書き方について、登記所のチェックを受けておくということです。
2、定款の内容一般について
今回は、時間がないせいもあって、定款の中身については、参考文献にあったヒナ型を殆どそのまま使い、立ち入った検討・修正はしませんでした。というのも、すでに、
(1)、事業の共同経営者は、株主として同数(ここでは10株)の株式を持ち、お互いが対等の立場で事業に参加するという立場が取られていること、
(2)、個人の株主がほぼ全員取締役となり、共同経営のスタンスが、制度的にも貫かれていること、
などから、とりあえずこれでスタートしようということにしたのです
なお、取締役選任或いは代表取締役選任にあたって「くじ引き制度の導入」を制度的にどのようにおこなうのかなど、今後の課題があることを指摘しておきます(注2)。
◆書面のアップ
定款 | 但し、個人情報は削除 | → |
3、定款の作成・認証手続 |
2の定款の内容を検討・決定したら、次に、これを正式な文書として作成・認証する手続となります。
実は、今回、これで一番大変でした。というのは、定款の作成には、
発起人の実印の捺印と印鑑証明書
が必要であり、今回は次のような事情があったからです。
1 | 発起人の中に、実印を持っていない(というより、持てない)海外在住の人がいたこと |
2 | それ以外の発起人も、実印は持っていても、日本各地に散らばっていたこと |
↑
1について
私も初めてのことで、よく分からず、とりあえず、手近な公証人役場に電話で問い合わせたところ
「日本に住所がない在日外国人でも、実印と印鑑証明書が作れますから、お宅のケースも実印が作れるのではないです
か」
というような回答を得て、内藤さんに、最寄りの市役所に行ってもらい、詳細を調べてもらいましたが、「作れない」ということでした。
実印が作れないので会社設立がストップするなんて、全く思いも寄らない障害に直面して、頭を抱えてしまったのですが、かといって、たかだか実印ごときのために、その人を発起人から外れてもらうのも本末転倒なので、何とかせねばと、改めて、別の、都内の(いかにも外国人も発起人になりそうな)公証人役場に電話して聞いてみたら、今度は、スラスラと
「できますよ。それは、サイン証明というのを取ってもらえばいいのです。‥‥」
ということで、実印の捺印と印鑑証明書に代えて、サインとサイン証明署であればいいことが判明し、一件落着しました(←しかし、こんな情報は本に書いてないので、分かるまで大変だった)
2について
1が解決しても、次は、2の問題がありました。
既に、投資組合の契約書でも同様の問題があったのですが、投資組合は三文判でよかったので、遠方の出資者の方の場合、こちらで三文判を用意して押せば足りたのです。ところが、定款はあくまでも実印なので、そう簡単にはいきませんでした。実印を気軽に送ってもらうというわけには行かず、やはり、次のいずれかの方法しかありません。
(1)実印を持参の上、こちらは定款を持参の上どこかで落ち合って、そこで捺印してもらう
(2)、定款を先方に送り、実印を捺印してもらい、定款を送り返す
結局、日本国内の発起人の場合は(1)の方式で処理し、海外の発起人の場合は(2)の方式で処理しました。
とくに、定款を送り、先方で捺印してもらう場合には、どこに、何箇所、捺印したらいいか、私などはすぐ側にいないため手取り足取り説明できないので、見本を同封したりして万全を期したのですが、それでも、その場で質問を受けたり、チェックすることが出来ず、いろいろ苦労しました(←これにも、いろいろハプニングがあるのですが、ここでは語り尽くせません(^_^))。
しかし、定款がかくも世界中をグルグル渡り歩くようなケースは、中小企業では珍しいでしょう。
◆定款の作成方法
ここでは、いかに、捺印の数を減らすようにできるか、ということで、袋綴じの方法を採用しました。
これによって、いわゆる契印が5個から1個に減ることができました。
→その詳細は、参考文献の104頁を参照のこと。
◆定款の認証手続
最後は、実際に、公証人役場に行って、公証人から認証してもらう手続です。
これがまた、結構、面倒くさい。
というのは、原理としては、定款に名を連ねた発起人全員が出頭して、公証人の前に出ることが要請されるからです。
もちろん、そんな面倒なことを実行できるわけがないので、内藤さんに一任することになるのですが、そのための委任状が、これまたなかなか厳格なもので、きちんと実印が押してなければなりません(但し、印鑑証明書は、定款のためのものを転用できるので、不要)。
委任状にせよ、定款にせよ、その際、最も注意しなければいけないのが、実印を押す箇所の氏名と住所が、印鑑証明書に書いてある記載と一致していけなればならないことです。
例えば、
(1) | 住所は、1−2−3 ではダメです。必ず、印鑑証明書の記載通りに、1丁目2番地3号 という風に書く必要があります。 |
(2) | 氏名なども、例えば柄谷行人とペンネームを書いてはダメです。必ず、印鑑証明書の通りに本名を書かなくてはいけません。 |
(3) | とくに留意してほしいのが、漢字の正確な記載です。「わたなべ」という名字にも多くの「なべ」があるように、印鑑証明書の通りに、正しく書く必要があります。 |
余談ですが、今回、浅田さんの「浅」が印鑑証明書のそれとちがったのですが、これなどは寸前に気がついて、ヒヤッとしたものです(^^;)。
もっとも、こうしたことは、全て、定款と委任状に、予め訂正用に、捨印(訂正印)が押してあれば問題ないのです(その場で、訂正できますから)。その意味でも、くれぐれも、訂正印を押しておくことを勧めます。
今回も結局、うまく行ったのですが、思わず息を飲むようなシーンもあって、なかなか冷や汗ものでした。
◆書面のアップ
定款認証のための委任状 | 但し、個人情報は削除 | → |
4、株式払込の手続 |
これは、設立にあたって発行する株式を引き受ける=引き受けた分の金額を、株式払込事務取扱を委託した金融機関に払い込む手続です。
公証人役場で、定款の認証が済めば、それを当該金融機関に持っていけば、そのあとの手続は、金融機関の方でちゃんと指示してくれますので、大体はそれに従ってやればいいと思います。
問題は、どこの金融機関を、株式払込事務取扱を委託する機関として選ぶか、です。
これについては、参考文献67頁に解説がありますので、参考にして下さい。
今回のケースでは、金融機関自体は会社の本店の近くになくても、ATMさえあれば、出入金が容易に出来るので、どの銀行のATMが近くにあるかを目安に、金融機関を決めました。
そこまではよかったのですが、そのあと、私と内藤さんで、目星をつけた金融機関とその周辺の銀行に、さっそく、話を聞きに回ったのですが、正直いって、対応に出た行員から、殆ど無視に近いいんぎん無礼な扱いを受けました。
「銀行におけるコネ社会の何たるか」を、さっぱり分かっていなかったからです。東京三菱などは、こちらが「株式払込事務取扱を委託したいのだが」と切り出すと、けげんな顔で「何を、ご冗談を」と言わんばかりの感じであしらわれただけでした。
こっちも負けじとばかりに「あんた、批評空間って、知らないの?」と迫ってみても、「何、それ」と全然通じなかったのには参りました。
あとから、都市銀行には、予め、紹介者を介してから相談に行くものだと教わりました。こちらとしては、今回は、何も融資の依頼ではなく、単に、金を預けるだけなのに、ありがたがられこそされても、迷惑がられることは何もない、だから、偉そうな態度を取る理由などないだろうと思っていたのですが。
また、この株式払込の手続では、発起人総代を除いて実印は一切不要です。遠方の発起人については、こちらで三文判を用意して対応すればよいでしょう。
5、会社組織(取締役等の選任)の決定 |
これもとくに変わったことは、ありません。
決めるのは、取締役と代表取締役と監査役です。
今回の募集設立の場合、まず創立総会を開催し、そこで、取締役と監査役を選任し、そのあと、選ばれた取締役が取締役会を開催して、そこで、代表路取締役を選任するという手順を取ります。
その結果を、おのおの議事録という形で残しますが、実印が必要なのは、代表取締役に選任された人だけなので、それ以外の人については、(必要に応じてこちらで用意した)三文判で足ります。
6、登記申請の手続 |
ここが、設立手続の一応のファイナルで、参考文献には、「ここが難関」と書いてありますが、投資組合の登記で、一通り揉まれた経験を持つ私たちにとっては、そうたいしたことではありませんでした。
要は、言われた通りに、ちゃんと書類を用意してあればいいだけのことで、また、登記所というのは、もし申請書類の不備があっても、その場合にはちゃんと補正という手続があって、そこで、不備を補正するよう、指導してくれますから(いきなり、不合格といって、突き返されるわけではありませんので)そう心配しないで、結構です。
以下は、株式会社の設立登記の申請に必要な書類のデータです。
◆登記申請書
コメント | データ |
具体的なデータを記入してあります(但し、個人情報は除く)。 各該当箇所の黄色くなった部分にカーソルを当てると、その箇所に関する解説が浮き出るようになっています。 |
◆登記申請書に添付する書類
ちなみに、この申請手続きに関し参考文献にミスがあったので、それを指摘しておきます。
頁 | 誤り | 正解 | |
152頁 | 募集設立の場合の4 | 左に同じ | 抹消 |
同 | 発起設立の場合の15 | 代表取締役の印鑑証明書 | 代表取締役個人と明確化 |
168頁 | 募集設立の場合 | 有価証券の取引所の相場を証する書面 | ※をつける |
7、官公署への届出 |
登記所(法務局)で、登記手続が完了したら、そのあと、次のところに行って、必要な書類を提出しなければなりません。
1 | 税務署 |
2 | 労働基準監督署 |
3 | 公共職業安定所 |
4 | 社会保険事務所 |
→その詳細は、参考文献の176頁以下を参照。
(注1) 商法
第百六十八条 左ノ事項ハ之ヲ定款ニ記載スルニ非ザレバ其ノ効力ヲ有セズ
一乃至三 削除
四 発起人ガ受クベキ特別ノ利益及之ヲ受クベキ者ノ氏名
五 現物出資ヲ為ス者ノ氏名、出資ノ目的タル財産、其ノ価格並ニ之ニ対シテ与フル株式ノ額面無額面ノ別、種類及数
六 会社ノ成立後ニ譲受クルコトヲ約シタル財産、其ノ価格及譲渡人ノ氏名
七 発起人ガ受クベキ報酬ノ額
八 会社ノ負担ニ帰スベキ設立費用但シ定款ノ認証ノ手数料及株式ノ払込ノ取扱ニ付銀行又ハ信託会社ニ支払フベキ報酬ハ此ノ限ニ在ラズ
○2 現物出資ハ発起人ニ限リ之ヲ為スコトヲ得
百八十一条 定款ヲ以テ第百六十八条第一項ニ掲グル事項ヲ定メタルトキハ発起人ハ之ニ関スル調査ヲ為サシムル為検査役ノ選任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要ス‥‥‥‥
(注2) 株式会社における「くじ引き制度」の導入
株式会社に「くじ引き」を導入するということは、一見突拍子もないアイデアのように見えて、実はそうではありません。むしろ、最先端に話題にすらなっているくらいです。
本年7月1日の日経(朝刊)の地球回覧というコーナーでは、
「取締役、くじ引きのすすめ」
という見出しで、これまでいろんなやり方で改革をやってきてちっともうまく行かない会社制度の改革をめぐって、昨今登場してきた社外取締役制度を実効あらしめるためにどんな基準で選出するか、という最大の焦点について、その解決策として、
「古代ギリシャにならって、くじ引きで社外取締役を選んだらどうか」
と提案しているのです。
要するに、これまでの表面的、形骸的な(もっとはっきり言えば欺瞞的な)民主主義に代えて、実効性のある民主主義のツールとして、「くじ引き制度」の導入が今注目を浴びているのです。
(文責 柳原敏夫)