債権者準備書面(4)添付資料

----タイガーマスク無断続編作成事件----
東京地裁平成5年(ヨ)第2538号著作権侵害差止仮処分申請事件

11.18/93

コメント

本著作権事件は、人気漫画「タイガーマスク」の無断続編を企てた相手の新聞掲載・出版の差止を求めて、仮処分事件を起こしたもの。

本書面は債権者準備書面(4)に添付した資料で、日本の裁判史上いまだ嘗て翻案権侵害の判断を正面から成し遂げた判決例はひとつもないことを明らかにしたもの。

事件番号 東京地裁民事第29部 平成5年(ヨ)第2538号 著作権侵害差止仮処分事件 
当事者 債権者 辻なおき
債務者 真樹日佐夫ほか2名
申立 93年 5月23日
決定 94年 7月 1日 申立を認める。



翻 案 権 侵 害 事 件 の 判 決


一、「樹林」著作権侵害事件東京地裁平成二年四月二七日判決(判例時報一三六四号九五頁以下)

 右認定の事実によると、被告作品は、樹林に依拠し、これに変形を加えて製作したものであって、その製作行為は、原告が樹林について有する翻案権及び同一性保持権を侵害するものと認められる。(九八頁二段目)


二、「陶壁画」著作権侵害事件東京地裁八王子支部昭和六二年九月一八日判決(判例時報一二四九号一〇五頁以下)

 右対比によると、本件壁画は、日野市壁画の複製物とまでは認められないけれども、しかし、全体的に両壁画を比較対照して観察すれば、右相違点よりも類似性の方が強く印象付けられることは否定しがたく、観る者をして、その表現形式上同一の創作発想に基づき、原著作物(日野市壁画)を土台としてこれを変形した作品(本件壁画)と認めしむるに十分であり、右両作品の客観的な比較に加え、後記六に認定の事情を総合考慮すれば、本件壁画は日野市壁画の変形物に該るものと断ぜざるを得ない。(一〇九頁三段目)


二、「たいやきくん」事件東京地裁昭和五二年三月三〇日判決(著作権関係判例集1.七一三頁以下)

被告は、昭和五一年一月中以降、原告に無断で北日本カラーフオームに注文して、本件原画の複製物に基づいて、本件縫いぐるみを製造させて、これを販売していること、本件縫いぐるみは、縫いぐるみ人形であって、数種の色彩、柄の布地を裁断して裁製し、その内部に綿類等の芯を詰め入れ、魚の顔、体を形成しているが、その形体、表情は、本件原画のそれと殆んど同一であることが認められ、他に右認定をつくがえすに足りる証拠はない。
右認定の事実によれば、本件縫いぐるみは、本件原画に依拠して、これを変形して製造されたものと認めるのが相当である。
(七一七頁下段)

以 上
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