著作権勉強会のレジメ
----貸レコードをめぐる法律問題について----

1986.09.04



著作権勉強会         「貸レコードをめぐる法律問題について」

                     レ ジ メ
1、昭和57年7月1日JASRACが 紅堂を提訴
(1)、訴状の法律構成はどのようなものであったか。
貸レコード店と利用客の共同不法行為によって複製権を侵害

(2)、この法律構成の分析
共同の不法行為とは 1、貸レコード店 貸与行為
2、利用客 家庭内録音行為
両者の関係
前者の行為は後者の実現を助ける幇助行為(民法§719U)

(3)、この法律構成の問題点
§30との関係
中核となる録音行為が§30により適法
なのに、その助っ の貸与行為が違法とされるのはどういう訳か。
(4)、この問題点に対する対応の仕方
2つの対応が可能 a.§30の新解釈
b.貸与行為の違法性のみ
訴訟での選択(b.)   1、「違法の個別性」の理論(刑法理論の類推)
              2、貸しレコード店の貸与行為の違法性
b.を選択した理由 

(5)、この対応の仕方に対する評価
1、について
刑法理論の内容の適否と類推の適否
2、について
§30が適用にならない根拠

(6)、まとめ――何故このようなややこしい法律構成をとったか。
狙い 貸レコード店の貸与行為の取締り
方法 利用客の家庭内録音という複製行為に着眼する。
利用客の家庭内録音の違法性は不問にする。

(7)、貸与権侵害という法律構成は不可能であったか。
1、明文上
2、条文解釈上
レコードの譲渡なり貸与とは法律的にどういう意味をもつのか

(8)、貸与権新設による限界は何か。
1、共同購入方式

2、家庭内録音そのものの規制

(9)、貸与権新設による限界は何に由来するものか。
  家庭内録音という現象の本質的特徴は何か?
→複製のあり方の大転換:著作物の流通過程の歴史的転換
1、 グーテンベルクの印刷術
2、 家庭内録音の普及

(10)、一般に、法律構成や法律理論はどのようにして作られるものか。
社会現象 法的価値判断 法律構成
肯定的評価 助長・育成
文化現象
否定的評価 防止・規制

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