著作権勉強会の参加の呼びかけ

1986.08.22


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 10年前、私は、とにかくいろんな業種の人たちが集まった刺激に満ちた交流がしたくて、そのために著作権の勉強会を考えていました。
 それで、その夏、現在の「著作権情報センター」の夏期研修の席上で、この著作権勉強会の紹介をさせてもらい、その直後、この文章を生意気にもこの研修の参加者全員に送り付けたところ、世の中には変わった人もいるもので、こんな妙ちきりんな文にまんまと引っかかり、参加を申し出たケッタイな人たちが何と20人近くにのぼったのです。
 そのため、名前だけの積りのこの勉強会をホントに発足せざるを得ず、以来今日まで、10年以上(途中、私の都合で、コンピュータの勉強会、数学の勉強会に変身したこともあったが)続くことになってしまったものです。


先日、著作権資料協会(注:現在の「著作権情報センター」のこと)主催の著作権研修の席上、司会の事務局長より、私たちの著作権勉強会の紹介をさせてもらいました。しかし、当日は時間に追われ、会の内容について十分な説明をすることができませんでした。そこで、今回、その補足として、下記の通り、著作権勉強会の案内をさせてもらうことにしました。
1、著作権勉強会(仮称)発足の趣旨
1.1
昨今の科学技術の進歩は、いわゆる著作権ビジネスに携わる人々にとって「驚嘆」としか現わしようのない画期的なものです。ところで、その「驚嘆」すべき真の理由は、このめざましい技術進歩が全く新しい高度情報社会を切り開きつつあることにあるのは勿論のこと、実は、それ以上に、この技術進歩が内面における変化、即ち人々の生活様式・文化様式を形づくる人間の意識において画期的な変革をもたらしつつあることにある。
今後そう遠くない将来において、私たちは文化のソフトとハードにおいて、歴史上未曽有の変革を経験することでしょう。
1.2
これを著作権の面から見た場合、著作権の取扱う分野が、単に量的に拡大するのみならず、質的にも全く予想外なものまでも登場することが予想され、これら全てを含めて著作物相互の権利関係も一層複雑・錯綜化し、その中で著作権の基礎理論も幾度か根本から反省を迫られることになります。
1.3
現在、この急激な変化に対応して、すみやかに著作権法等の改正がなされ、手当が施されてはいますが、これら立法的解決を以って次々と出現する新たな問題全てに対処することは神技にも近い至難の技に違いありません。
1.4
そこで、私たちは、このような時代の転換期においてこそ、改めて著作権の考え方の原点に戻り、その基本的な視点をしっかりと見据え、その視点から新しい現象の本質的特徴を探求し、その特徴に最も相応しい法的処理の仕方を見つけ出すことが何より大切なことと考えます。そして必要とあれば、新しい現象からフィードバックして、従来の著作権の基礎理論の存在意義を問い直し、新しい現象に相応しい新しい著作権理論を敢て模索していくことが大切なことと考えます。
1.5
そこで、このような課題と取り組むために、私たち若手法律家は今度新たに著作権の勉強会を発足した次第です。
この勉強会では、単なる著作権の知識や情報を交換・収集するだけの場に終わらせないで、できる限り、各分野の人達が日頃から直面している困難な問題を出しあって、これについて納得がいくまで遠慮のない質疑応答を重ね、たとえ直ちに解答が得られなくとも、せめて疑問点にひそむ本質的問題まで明らかにし、順々にではあれ、確実に著作権における法律的な「考え方」というものを理解し、これを身につけ、最終的には、各人が新しい問題に直面した時でも自分の頭で自主的に考えていける能力を身につけられるよう互いに鍛錬したいと考えています。
そのためには、まず法律的な考え方の専門家である(筈の)法律家と、著作権ビジネスの実態に通暁している第一線のビジネスマンとの共働作業が不可欠と考えます。そして、この勉強会を充実したものにするため、私たちとしては、各人が対等であること、自主性を持っていること、目先の損得を考えないこと、議論に際しては、間違いと失敗を恐れないことを基本としたいと思っています。
  以上の趣旨に賛同された方、或いは興味をもたれた方はふるって当勉強会に御参加下さい。

2、勉強会の日程(9月分)
日時 ・・・・9月4日(木)午後4時30分から7時まで
場所 ・・・・東京弁護士会3階301号室( 581-2201)
テーマ ・・・貸レコードをめぐる法律問題について

著作権資料協会が、毎月1回定期的に開催しています著作権講演会のうち、本年2月に開催された講演会「音楽著作物の複製権侵害事件」において提出された法律問題について、再検討を加え、昭和60年の改正について、解釈問題や未解決の問題についての検討を加える予定です。
次回に参加を希望される方は、予め当勉強会の代表まで御連絡下されば幸いです。

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