はじめに
2003年6月14日
初めてアメリカに行ったとき、この国では「痴漢」は基本的にないのではないかと思いました。
自己と他者との厳然たる区別があるこの国では、自己と他者との区別が殆ど喪失させられるような電車のラッシュ自体がそもそも社会的に許されないだろうし、それゆえ、そのような場所では、ナアナアのズルズルべったりの下でのみ可能な「痴漢」も(仮にやりたいと思っても)不可能と思えたからです。
逆に言うと、「痴漢」は、日本のようなナアナアのズルズルべったりのような場所でのみ繁栄する日本的人権侵害です。
それゆえ、「痴漢」という人権侵害に対抗する道もまた、ひとつには、このナアナアのズルズルべったりの日本的文化と闘うことです。
このコーナーでは、こうした観点から、日本における人権侵害の、日本に固有な特徴をえぐり出し、それを踏まえて、日本人が人権侵害に抵抗し、これに主体的に克服していく力と可能性がどんなところにあるのかを探ろうという試みです。