GMイネ実験データ公開裁判のデータ公開
2012年9月4日
2005年と2006年、国(独立行政法人)は、新潟県上越市で、多くの住民の反対を押し切って、日本で最初の遺伝子組換えイネの野外実験が強行しました。多くの住民がこの野外実験に猛反対した最大の理由は、この遺伝子組換えイネはディフェンシン耐性菌という人類と地球環境に大変な危険をもたらす可能性を持つ新たな生物を生み出すからです(−>この警鐘を鳴らした耐性菌研究の世界的研究者平松啓一順天堂大学教授の意見書参照)。そこで、住民は、この野外実験の中止を求めて、なおかつこの野外実験の危険性を明らかにするために、裁判を起こしました(−>その公式サイト)。
その中で、多くの問題点が明らかにされました。しかし、被告(独立行政法人)は最後まで、この実験の核心部分を決して明らかにしようとしませんでした。
他方で、かつて日本の裁判所では傍聴者はメモを取ることさえ禁じられていましたが、「それはおかしい」と一人の外国人が1985年に訴訟を起こし、それから4年後日本の裁判所を変えました。傍聴席で自由にメモができるようになったのです(法廷メモ訴訟)。それがローレンス・レペタさんです。
レペタさんは、この危険な遺伝子組換えイネの実験に関心を抱き、2007年、この実験データの情報公開請求を行いました。5年後の2012年、この実験データが記載されている実験ノートは私文書であるという理由で情報公開の対象にならないと判断されました。
そこで、「この判断はおかしい」と、今年6月、その判断の取消しを求めて東京地裁に提訴しました。
以下は、その実験データの公開に関する情報公開請求手続と不開示処分の取消し訴訟の全ての情報を公開するものです。
1、検討資料
(1)、情報公開請求手続
月 日 |
異議申立人(ローレンス・レペタ) |
月 日 |
諮問庁(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構) |
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2007. 12.13 |
開示請求 | |
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2008. 1.9 |
30日の延期決定 |
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2.12 | 開示に関する決定 | ||||
2008. 3.28 |
異議申立 | ||||
6.27 | 審査会への諮問通知 | ||||
7.9 | 諮問理由説明書 | ||||
9.18 | 意見書 | 諮問理由説明書への反論。 | |||
同 | 証拠説明書 | ||||
2009 .3.23 |
補充理由説明書 | 意見書への反論。 | |||
2009. 5.15 |
意見書2 | 補充理由説明書への反論 | |||
同 | 証拠説明書(2) | ||||
2011. 9.29 |
口頭陳述の不承認 | ||||
9.30 | 答申 | ||||
2011. 12.5 |
決定 |
(2)、不開示処分の取消し訴訟
月 日 |
原告(ローレンス・レペタ) |
月 日 |
被告(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構) |
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2012. 6.5 |
訴状 | 実験データが記載されている実験ノートは私文書である(言い換えれば、法人文書ではない)という理由で情報公開の対象にならないとした処分は誤っているので、取り消しを求めたもの。 | |
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同 | 証拠説明書 | 甲1〜4の提出 | |||
8.28 | 答弁書 | ||||
9.3 | 求釈明書 | 双方に争いのない「実験データは被告法人に帰属する」ことの法律的意味と具体的な意味をめぐって質問。 | |||
同 | 証拠説明書2 | 甲5〜10の提出その詳細は=>こちら(準備中) | |||
甲6 | 実験成績証明書(川田氏が行った実験の報告書) | ||||
甲7 | 実験成績証明書(同上) | ||||
甲8 | 論文「抗菌蛋白質ディフェンシンの多様な機能特性」 | ||||
9.4 | 1回目 | 被告、原告の求釈明に対し「答える必要なし」と回答するが、裁判所は「原告と同様、答えを聞きたい」と釈明に応ずるように指示。 被告、回答に1ヶ月の期間を希望(10月1日まで) 原告、被告の回答を受けて次回までに反論を準備。 |
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10.1 |
準備書面(1) 乙1 |
乙1:研究目標・計画の変遷 |
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11.7 |
準備書面(1) |
第1 はじめに 第2 「成績・計画概要書」の存在 第3 法人文書目録(2)の文書の特定――川田元滋氏及び大島正弘氏の「実験ノート」が存在すること―― 第4 法人文書目録(2)の文書の法人文書性について 第5 本件実験ノートが不開示情報に該当しないこと 第6 結語 第7 求釈明 |
11.8 |
証拠説明書(1) |
乙1 5 |
11.7 | 証拠説明書(3) | 甲11〜16 | |||
甲15 | プレス発表「我が国独自の技術で安心な組換えイネを開発」 | ||||
11.8 | 2回目 | 被告、次回までに原告主張に対する反論を準備。 |
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12.26 | 準備書面(2) 証拠説明書(2) |
乙2:審査会の答申書 | |||
1.15 | 3回目 | 原告、次回までに被告主張に対する反論を準備。 |
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3.1 |
準備書面(2) |
第1 法人文書目録(2)の文書の特定――実験ノートが存在すること――
1、遺伝子組換え作物の開発において実験ノートの作成が不可欠であること(一般論) 2、本遺伝子組換えイネの開発において実験ノートの作成が不可欠であること(具体論) 3、本研究プロジェクトで実施された実験と実験ノートについて1(川田元氏) 4、誰が実験ノートの作成者か(川田氏) 5、本研究プロジェクトで実施された実験と実験ノートについて2(大島正弘氏) 6、誰が実験ノートの作成者か(大島氏) 7、小括 第2 法人文書目録(2)の文書の法人文書性 1、組織共用文書性の判断(一般論) 2、実験ノートの組織共用文書性の判断(具体論) 3、本件実験ノートの組織共用文書性の判断 4、本件審査会の答申の問題点 5、小括 第3 成績・計画概要書に関する瑕疵について 第4 今後の進行について |
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3.5 |
証拠説明書(4) | 甲16〜17 | |||
同 | 甲17 | 東京大学大気海洋研究所教授の木暮一啓氏の意見書 第1、略歴 第2、実験ノートの作成について 第3、実験ノートの活用について 第4、実験ノートの管理について 第5、実験ノートの性格について |
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3.7 | 4回目 | 裁判所、実験ノートの作成者(川田氏ほか)を呼び、話を聞きたいという態度を表明。 被告、次回(5月9日)までに原告主張に対する認否・反論を準備。 |